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「待っていたら、俺たちは、あのスライムたちの下敷きだぞ」
俺は、迫りくるスライムたちの動きに注意を払いながらも、そう続けた。
もはや、体力も余裕も底を尽きかけている、俺とて、いよいよ深刻モードだ。
イフは、祈りのポーズのまま、
「待ちましょう!」
と、堂々と大胆に言った。
「だから……」
俺の言葉を即時に遮るあるいはキャンセルするように、言うなれば即キャンする勢いで、イフは、
「待ちましょう! ばり待っとーもんっ!」
イフは、漫画で言うところの強く目を閉じているような表情、>(大なり)と<(小なり)をつないだような表情である。
「……あー……」
二の句が継げない俺である。
この緊迫した状況の中、思わず脱力してしまうほどだ。
「待っとーもんっ!」
イフは、訴えかけるように叫んだ。
「……」
まるで根拠のなく言い張るだだっこモードである。
既視感がある、これはスーパーでお菓子を買ってもらえなくてレジのあたりで両親の服をぐっぐっと引っぱってだだをこねるお子様のごときである。
しかも、俺のいた世界の明太子やとんこつラーメンが有名な地方の言葉づかいになっている。
これは、イフがテンパっていることの証左である。





