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しかし、イフの中の女神のイメージはそのイメージで、そのままでいいだろう。
わざわざそのイメージを壊しても、詮のない話だ。
野暮なことは言わないものである。
(……これ以上貸せないぞ、女神様……)
と、俺は、思った。
「……ですから、女神様の導きを待ちましょう!」
目をきらきらとさせているイフである。
あまりの窮地に、なかば現実逃避に陥っている。
「……」
わからなくもない。
俺だって、学校の定期テストの範囲を二十ページから四十ページまでと思って勉強してきたら、じつはテスト範囲は一ページから二十ページだったということがテスト用紙を配られた時にはっと気づいたとしたら、どうなるかわかったものではない。
きっと、そんな窮地にいたっては、なかば現実逃避なかば神様頼みで祈ってしまうかもしれない。
「導きを……待つだって?」
選択問題ならば、六角形の鉛筆でも転がして、当たるも八卦当たらぬも八卦そんな作戦に出てしまうかもしれない。
しかし、ここで、なかよく二人してそのような神頼みに終始しているわけにはいかないのだ。
俺は、イフを我に返らせるべく、
「目を覚ませ、イフ」
俺は、イフの目をじっと見つめた。
「わかっているのか……?」
と、俺は、言い聞かせるように言った。





