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(くる……か?)
俺は、ばっとエクスカリパーを構えた。
くたくたになった身体では、この剣を構えることすら厳しくなりつつある。
敵の隊列は三組、俺たちの前方左右に二組、そして後方に一組だ。
(……どうさばくかだな)
俺は、三組の動きを順繰りに見ていった。
スライムたちのうごめきが、一瞬止まった。
「……く」
均衡状態などと考えるのは、ナンセンスだ。
嵐の前の静けさとしか思えない。
目がくるくるしたまま、依然こんらんのステータスがついたままと思われるイフは、
「女神エスト様は、そのようにして"遥けき庭園"から美しい声を届けて人々を導いたそうです」
「……おう」
そう俺は短く返した。
たしかに、導いたのかもしれない。
ただし、導いたのは人々ではなくリスナーだろう。
ラジオのDJすなわちラジオパーソナリティっぽくリスナーを導いたのかもしれないことは、黙っておくことにした。
(そもそも、女神が発信しているラジオ番組ってあるのか……?)
と、俺は、自問した。
ひとりツッコミをしてみるものの、当然、明確な答えになどたどりつけるはずもない。





