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「待て、イフ……スライムたちが……!」
スライムが、隊列を組んでいたのだ。
しかも五匹の隊列が三組、今までにない攻撃パターンだ。
三方向から一気に攻めてくる恐れこれありである。
いよいよぐだっている場合ではない。
「まだ、話途中です、ソラ」
目がくるくるしたまま、こんらんのステータスがついたままと思われるイフは、
「女神エスト様は清らかな美しい歌声で人々を癒したそうです」
「……おう」
そう俺は短く返しながら、
(……ままよ!)
例えが悪いが、毒を食らわば皿まで、だ。
こうなったら、ひとしきり話題を突貫してから、イフを正気に戻すしかない。
たしかに、歌の話は聞いた。
ただし、セルフカバーとかBメロがどうだとか、普通にミュージシャンっぽいことを色々と言っていたことは、黙っておくことにした。
俺は、カラオケが少し好きなくらいで、音楽については、浅薄な知識しか持ちあわせていない。
しかし、そんな俺でもわかる。
女神エストは、おそらくは微妙に音痴である。
正確に表現すれば、絶妙に微妙な仕上がりっぷりなのだ。
セルフカバーだと嬉しそうにハミングしていた曲は、ところどころ微妙に音を外していた。





