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 戦闘画面のステータスに、ひらがなでこんらんと書かれていそうな状況のイフだ。


 かくかく震えているイフの身体の振動が、俺にも伝わってくる。


 イフは、両手を組んだ。


「……いと慈悲(じひ)ぶかき創世(そうせい)の女神エストよ、奇跡の御手(みて)をどうか。願わくばどうか……我らが艱難辛苦(かんなんしんく)(あわ)れみて、その先を一条(いちじょう)の光をもって照らしたまえ」


 お祈りまではじめているイフである。


「ああ、女神エスト様……!」


 と、イフは、思いきり憂いのこもった声で言った。


 すっかり我を失っている調子のイフだ。


「……神頼みはやめておけ。それに、その神様は当てにならないぞ」


 俺は、ある少女の顔を思い出していた。


 間違いなく掛け値なしの美少女、ミス何某(なにがし)などの美少女コンテストやグランプリに出場していてもおかしくない容姿の少女である。


 以下は、俺とその少女との三日前のやり取りである。




「愚問ですね」


 少女は、瞑目し間をおいてから刮目(かつもく)した。


「あなたは、確実な可能性が担保されていなければ、動けないのですか。堅牢な石橋でなければ、渡ることを拒むのですか」


 少女は、憂いを秘めた瞳で、俺を見た。


(いや。そんな目で、見られても……)


「九十九%無理だとわかっていても、たとえ一%しか可能性がなかったとしても、それでも、一%の望みがある限り諦めない。可能性を信じる。それこそが大切なのだと、私は、思います」


「無理やり格好よく言ってくれているけれども、別の言い方をすれば、一般的に言って、無謀というんだと思うんだが、それは……」


「熱くなれよ!」

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