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何ということだろうか、冒険の序盤も序盤にしてこの窮状である。
剣と魔法の世界のRPGゲームで言えば、最初の城を出て最初のダンジョンでの戦闘画面でHPがほとんどなくなってしまっていて画面が逼迫感ただよう緑一色みたいな感じだ。
(……やばいな)
と、俺は、思った。
脳裏を、何々たちは全滅しましたとかゲームオーバーとかそういうメッセージが、かすめていった。
ただし、直観できるのは、所持金を半分にされてセーブポイントまで戻ったりもしくはタイトル画面に戻ったりするのではないだろうということだ。
これは、ゲームと違う点であり、重要で深刻な問題だ。
(敗けたら……先は……ないだろうな)
俺は、唇を噛んだ。
俺は、落ち着いた調子を装うことにした。
テンパるのは、俺一人で十分だ。
俺が感情のままにテンパって、イフまで巻き込むわけにはいかない。
とにかく、冷静に判断して対処する必要がある。
こういう時こそ、冷静になったほうがいいだろう。
「原因は、わかったんだ」
俺は、勢いよくしかし静かに落葉をざっと踏みしめた。
「後は、対処すればいいだけだろう」
と、俺は、さらりと言った。
(……乗るしかないっ。このかりそめのハッタリの大波にっ)
そう、胸の鼓動をうるさく感じながらも、平静をよそおってさらりと言ってのけたのだ。





