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ワインレッドのようなほの暗い赤の光が、俺たちの前に展開されていた。
バラを思わせる鮮烈な赤ではない。
血を思わせるどす黒い赤である。
禍々(まがまが)しささえ感じる光だ。
「……」
イフは、開いた口がふさがらない様子だった。
俺も、心境的には同じようなものである。
赤い光は、あっという間に巨大な魔方陣へと変容をとげていた。
「魔方陣……っ?」
イフの瞳が、驚愕と怯えに揺れた。
魔方陣が、地面に展開されていた。
「魔法……陣……」
と、俺は、イフの言葉をなぞるように言っていた。
魔方陣である、見まごうことなき魔方陣である。
俺のいた世界でよくRPGゲームや漫画でアニメで見たような、魔方陣によく似ている。
コンパスで描いたような形の整った外周の円が、まず目についた。
その内側にも、それよりも小さい円が、何重かになって描かれている。
細かな文様や幾何学文字などがびっしりと刻まれていた。
俺の浅薄な知識から憶測するに、力ある言葉とか呪文とかルーンとか、そんなものなのだろうか。
目の前の魔方陣は、冒険者ギルドで見た測定魔方陣"六芒星測定"、これの巨大バージョンといったところだ。





