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4-312

 ワインレッドのようなほの暗い赤の光が、俺たちの前に展開されていた。


 バラを思わせる鮮烈(せんれつ)な赤ではない。


 血を思わせるどす黒い赤である。


 禍々(まがまが)しささえ感じる光だ。


「……」


 イフは、開いた口がふさがらない様子だった。


 俺も、心境的には同じようなものである。


 赤い光は、あっという間に巨大な魔方陣へと変容をとげていた。


魔方陣(まほうじん)……っ?」


 イフの(ひとみ)が、驚愕(きょうがく)(おび)えに揺れた。


 魔方陣が、地面に展開されていた。


「魔法……陣……」


 と、俺は、イフの言葉をなぞるように言っていた。


 魔方陣である、見まごうことなき魔方陣である。


 俺のいた世界でよくRPG(アールピージー)ゲームや漫画でアニメで見たような、魔方陣によく似ている。


 コンパスで描いたような形の整った外周(がいしゅう)の円が、まず目についた。


 その内側にも、それよりも小さい円が、何重かになって描かれている。


 細かな文様(もんよう)幾何学文字(きかがくもじ)などがびっしりと刻まれていた。


 俺の浅薄(せんぱく)な知識から憶測するに、力ある言葉とか呪文とかルーンとか、そんなものなのだろうか。


 目の前の魔方陣は、冒険者ギルドで見た測定魔方陣"六芒星測定(ヘキサゴンメーター)"、これの巨大バージョンといったところだ。

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