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スライムたちの影は、一切合切消えていた。
「……」「……」
無言の俺たちの前に、殺風景な森の緑が広がっていた。
スライムたちは、跡形もなく消えていた。
あえなく閉店になってしまったスーパーとかコンビニの空き店舗の外から見える建物の中のようにさっぱりしてしまった。
文字通り、スライムのスの字もない。
「これで……どうだ?」
スライムの影がなくなったという事態にいまいち実感がわかず、俺は、そんなことを言っていた。
「やった……のでしょうか?」
少しだけほっとした調子で、イフが、言った。
あのままの戦いかたではじり貧、俺たちの体力が切れてゲームオーバーという絵は見えていた。
後がない状態といってよかっただろう。
戦いかたそのものを変えるしかない、それが俺の結論だった。
それならばスライムたちを細々(こまごま)倒すのではなく一掃すればいいのではないかと、思いたったのだ。
発想の転換である。
いつもの洗剤で汚れが落ちないのならば洗剤そのものを変えるしかない。
電子レンジでうまく仕上がらなかったアンまんや肉まんは調理方法を変えて蒸し器で仕上げるのが常套だ。
矢倉囲いが通用しないのなら、穴熊にしてみる手もあるのだ。
「イフ」
俺は、息をつきながら呼んだ。





