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一度あることは二度あるものだ。
俺が、この大技を使うのは二度目である。
俺も、二度目もやはり内心声をあげていた。
(……ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!)
しかも、言葉にならない叫び声である。
このあたりは、もはや既視感満載だ、欲張りフルセットである。
正直、ここまでは織り込み済みで技を放ったのだ。
ただし、織り込み済みだろうが何だろうが我慢できるかというと別問題である。
(アイタタタタタタタタタタタタタタタタタタ……イタイ、イタイイタイ……!)
魔法の詠唱だというのは、わかっている、理解できる。
理解はできるが、耐えられるかというとこれも別問題である。
中二感全開の詠唱に、俺は恥ずかしさのあまり身もだえた。
今まで体験した全ての恥ずかしさを凌駕しうるべき、圧倒的な恥ずかしさである。
ただし、今はそんなことに拘泥している場合ではない。
(……ままよ!)
俺は、心の中で叫んだ。
この緊急事態の前では、恥ずかしさなど吹き飛ばすべきだ。
そんな精神的大ダメージを現在進行形で負っている俺の口からは、
「……ただ激しき一陣の風の剣となり等しき殲滅を与えよ……!」
と、やけに落ち着いた魔法の詠唱の文句が紡がれていた。





