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「ちょっこまかとぉっ!」
怒りにまかせたチンピラBが、肩をいからせて、奔ってきた。
再び、結果は同じになって、チンピラBの拳は空を切っていた。
「何なんだ、その動きはっ」
チンピラAが、叫んだ。
俺にもよくわからないが、無理やり言葉にするのならば、身体が勝手に反応している状態だ。
「あったまきたぜ!」
いつのまにか、チンピラBは、ナイフを握りしめていた。
サスペンスドラマで犯人が手にしているようなナイフだが 刃物を他人から向けられることなど当然はじめてで、俺は、戦慄した。
人垣から、悲鳴が上がった。
「くたばれやぁっ」
チンピラBが、突進してきた。
(……っ!)
俺の視界は、緑のモノクロームに染めあげられて、閃光の文字列が、浮かびあがった。
(何だ、これは……)
はっきりと、文字列が視えた。
236+大K。
236とはレバーの入力手順、大Kとは大キックの略称である。
(……まさか!)
俺は、直観した。





