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4-282

 俺たちの路線変更したツーマンセルの攻撃は、うまく機能している。


 少しずつだがしかし確実に、スライムたちの戦力を削っているのだ。


 もう八割がたは、倒しているだろうか。


 俺は、スライムを剣で()いだ。


 あとひと息である。


 しかし、この戦闘を振り返ってみると、このぐだりようはなかなかである。


 俺たちは、スライムの群れと対峙しているにもかかわらず、妙なやり取りもしていた。


 イフが、俺の物真似をして軽くがっかりしてみたりもしていた。


 そして、イフの体術の話が、出てきたりもしていた。


 はては、俺が、妹の(みなと)とのことを回想してみたりしていた。


 そんなやり取りができるほど、俺たちに余裕があるわけでもないにもかかわらずだ。


 冒険者の実力と実績は、ギルド全体で公認されている測定魔方陣"六芒星測定(ヘキサゴンメーター)"によって、十九の階級(ランク)に分けられる。


 俺の階級(ランク)EEE(トリプルイー)で、イフの階級(ランク)FFF(トリプルエフ)である。


 上から数えた場合、俺は十四番目の階級(ランク)で、イフは十七番目の階級(ランク)ということになる。


 冷静に客観的に見た場合、俺たちは文字通りのかけ出しレベルだ。 


 かけ出しレベルだが、スライムに対処できないほど冒険者の階級(ランク)が低い俺たちではない。


 そうかといって、圧勝や楽勝を飾れるほど階級(ランク)が高いわけでもないのだ。


 そんな俺たちが、戦闘中に珍妙なやり取りをする余裕などないはずである。


「……まるで小噺(こばなし)だな」


 と、俺は、ため息をつくように言った。

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