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そもそも攻撃モーションそのものも速くはないから、先手を取れる機会も多かった。
先手必勝というやつだ。
俺は、発動した"入力実装"の高速移動を駆使しつつ、スライムたちをどんどん斬りふせていった。
俺の脳内では、コマンドが加速度をつけてどんどんと閃いていた。
閃くままに、コマンドをイメージでなぞりとっていく。
(次……っ!)
また閃くと同時にコマンドを即入力、この連続行動だ。
感覚としては、格闘ゲームのトレーニングモードでどんどんと次々に課題のコマンド入力をしていっているような、そんな感じだ。
「ソラ……っ! 右、五時の方向です!」
イフが、叫んだ。
「ああっ!」
イフのナビゲーションに応じて、俺は、剣を右方向に大きく振りかぶった。
はたして、攻撃をしかけてきたスライムが俺の剣によって一刀両断された。
思いきり剣を振り抜いたものだから、勢いあまって、体勢が少々崩れた。
ずざっと俺の着地に合わせるかのように、デエカの落葉が舞った。
「……ふっ」
気どったわけではない、俺は、大きく息をついて呼吸を整えた。
(だいぶ……数を減らせたな)
と、エクスカリパーを構えた俺は、思った。
スライムの包囲網は、確実に薄くなりつつあった。





