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十分の一ではどうなるのだろうか。
五分の一の威力は、この戦闘で視認している。
"小さな赤"の爆発および爆風は、スライムを霧散させ倒しているのだ。
言いかえるならば、五分の一の行使でも、スライムを倒すに足るということだ。
"小さな青"と"小さな緑"も"小さな赤"と同じくらいスライムに対して有効であると、イフは言っている。
つまり、"小さな青"と"小さな緑"に関しても、五分の一の行使でスライムを倒すに足るということだ。
AがCである、AはBと同等である、ならばBがCである、このような理屈である。
(調整行使……)
だったら五分の一のさらに半分の十分の一はどうだろうかと、俺は、考えたのだ。
これは、思いつきではない。
作戦の一つだ。
イフは、小さな顎に手をやって考えるしぐさのまま、
「……牽制にはなると思います」
と、言った。
「……ですが、牽制にしかならないと思います」
イフは、そんな慎重な言いかたをした。
(軽いジャブ程度……ということか)
俺は、そう思いながら、
「ひるませたり、のけぞらせたりはできるという感じか?」
俺の言葉に、イフは、こくん頷いた。





