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「五分の一です」
と、イフは、言った。
「じゃあ、"小さな赤"は、行使回数はほとんど残っていないのか」
この戦闘において、俺は、イフの疑似魔法の発動を三四回は見ているのだ。
この計算だと、魔法瓶の残りは、五分の二か一になる。
現にイフが手にしている魔法瓶の中の赤い液体は、ほとんど残っていない。
「はい。でも、安心してください」
イフは、小さなポーチから、別の魔法瓶二つを取り出した。
魔法瓶は、それぞれ中身がオーシャンブルーと淡い緑のものだ。
「水属性の疑似攻撃魔法"小さな青"、それに、風属性の疑似攻撃魔法"小さな緑"……だったな?」
「はい。こちらは、瓶は満タンです」
イフは、うごめいているスライムの包囲網を見やって、
「スライムは無属性。属性耐性は特にないはずです。ですから、"小さな青"と"小さな緑"も、"小さな赤"と同じくらい有効かと思います」
と、言った。
新たなスライムの隊列が、迫っていた。
包囲網の残存数は、およそ二十匹といったところだ。
当初の五十匹からは、たいぶ数を減らしている。
半分弱は、なんとか俺とイフの二人の連携で倒してきたのだ。
「"小さな青"と"小さな緑"……十分の一の調整行使だと、スライムに対してどれだけ効果がある?」
と、俺は、聞いた。





