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「はい」
イフは、頷いた。
「例えば、魔法瓶の五分の一だけを使って疑似魔法を行使することもできます」
イフは、中身が目減りした魔法瓶を俺に見せた。
「威力は、五分の一を下回るものになりますが……」
「なるほど」
俺は、頷いた。
これは、俺の予測から外れた事実だった。
魔法瓶は一回きりの使いきりかと思っていたが、そのような使用方法もあるということらしい。
(……ていうか、イフが"小さな赤"を何発か撃っている時点で気づくべきだったな)
と、俺は、思った。
コーヒーに砂糖を入れる人は、少なくないだろう。
角砂糖とかシュガースティックである。
かく言う俺は、コーヒーはブラック派であるが、それはそれである。
さらに言えば、渋いヒゲの親父がロゴになっている缶コーヒー推しであるが、それもそれである。
使いきりのシュガースティックは、基本は一本丸々の使いきりである。
しかし、場合によっては、半分とか三分の一とかずつ使うのでも構わないだろう。
イフの擬似魔法の調整行使の説明は、俺にはそういうニュアンスに聞こえた。
「でも、本来の使いかたからは外れていますので、本来の疑似魔法の効果は期待できません」
と、イフが、付けくわえた。





