2-18
何か、流れがとまってしまったような気がした。
頬を嫌な汗が伝っていくのを感じた。
(まずいな)
麻雀で言えば、流れがとまってしまった時は、ツモが悪い。
配牌からまったく手が進まないことすらある。
だが、ここまできたら、降りるという選択肢はない。
手牌で何を切るのか手を止めて悩むことができない時もあるし、危なげな牌だろうが、切る時は切るしかないのだ。
(つっきるしかない)
俺は、チンピラたちに、言った。
「……もうやめにしないか」
俺の言葉は、少々、弱気になっていた。
その雰囲気が、相手にも伝わってしまったようだった。
「やっぱり、はったりだったか!ふざけやがってっ。俺も、そうだろーと思ってたぜ」
チンピラBは、立腹の様子で、肩をいからせてずんずんと進んできた。
チンピラBの拳が、俺の右顔面に、クリーンヒットしていた。
俺は、派手に、地面に転がっていた。
「ぷぎゃあー!弱ええええええええっ!」
チンピラBの歓喜の声が上がった。
「かっこつけてでしゃばっておいてワンパンで退場って、ねえ今どんな気持ち?」
俺の耳に、チンピラたちの哄笑が響いてきた。