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俺は、手の平を上にかかげた。
それから、右手の親指と中指を交差させてばちこんっとこ気味のいい音を立てた。
「ははは。それなっ!」
俺は、ふっと笑った。
「麦茶タワー入りましたぁっ!」
ナンバー2(ツー)のイフが、大きな声をあげた。
「あちらも、麦茶タワー入りましたぁっ!」
ナンバー3(スリー)のラテュレという子が、元気のいい声を響かせた。
「そちらも、麦茶タワー入りましたぁっ!」
ナンバー1(ワン)のアカリという子が、わあっとはしゃいだ。
店のスタッフと客との間に妙なシンパシーが生まれる、この瞬間が、俺は嫌いではない。
「麦茶タワー、Yeeeeah……っ!」
「Yo! Yo! 麦茶タワーっ! Yeeeeah……っ!」
「Yeeeeah……っ!」
(……みたいな感じ、か?)
と、俺は、考えていた。
以上が、同伴およびアフターに関する俺の知識の全てだ。
それに、同伴およびアフターが使われそうな店に関する知識の全てでもある。
俺の頭の中では、何とも微妙な空気が流れていた。
(これは……)





