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「ははは。イフちゃんは、おねだりもしかたも上手だね」
イフは、困ったように眉毛をハの字にして、
「ソラおじさんにしかこんなことお願いできないよぉ……」
と、言った。
「ははは。よしよし、もうちょっと飲もうかな。ははは」
イフは、半分ほど減ったグラスに目をやって、
「じゃあ、麦茶の炭酸割り、入れておく?」
俺は、手の平を上に向けた。
それから、右手の親指と中指を交差させてぱっちんとこ気味のいい音を立てた。
「ははは。それなっ」
俺は、ふっと笑った。
「ははは。このあいだキープしていたやつ、濃いめで頼むよ」
「濃いめね」
そう言ったイフは、ゆっくりと席を立って、
「氷、かえてくるね」
俺は、大きく頷いた。
「ははは。麦茶濃いめ、サイコー」
「じゃあ、麦茶タワーも、いっちゃう?」
背中でやわらかく手を結んだイフが、言った。
少し前かがみになったイフのワンピースのような白いドレスが、しゃらりと揺れた。





