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そこまで言って、イフは、得意げな表情である。
漢字ドリルもう終わりました的な、にこにこ顔である。
もしくは、はいその問題わかりますと元気よく手を上げた的な、にっこり顔である。
イフのそんな表情を向けられた俺は、学校の先生にでもなった気分だ。
いや、俺がイフの表情を得意げであるなどとそのように描写することなど、無意味だろう。
おかわりいただけるだろうか、いやおわかりいただけるはずである。
なんとなれば、
「さすがのソラといえども……ふっ。こと擬似魔法に関しては私に軍配が上がるようですね……どやあぁっ!」
と、イフが、どやあなどと口に直接出しているからにほかならない。
「錬金術師としてある程度の知識と技量があってはじめて行使が可能となる、魔法瓶の調整行使……なのですからっ」
控えめな慎重な物言いをしがちなイフが、これだけ勢いをつけて言うのである。
「結構頑張って修得したもの……なのですからっ」
よどみのない綺麗な目でまっすぐに主張するイフである。
「……お、おう」
イフの勢いに少し圧される形で、俺は、相づちをうった。
「調整行使……なのですからっ」
「……お、おう」
ある程度の知識と技量とイフは言っているものの、思うに、魔法瓶の調整行使なるものは、レベルの高いスキルなのかもしれない。
「こう見えて、私、できる女なんです!」
そして、突然のできる女アピールである。





