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「……ということは、擬似魔法の使用可能回数は、五回」
俺の言葉を聞きながら、イフが、小さく口を開いた。
スライムの包囲網は、今度は、後方から動きがあった。
後衛要員のイフを狙おうという魂胆なのだろうか。
俺は、イフの前に、かばうように回りこんだ。
「そのうち、擬似攻撃魔法は、三回。この理解で合っているか?」
イフは、すっと首を横に傾けた。
なんだか得心もとい納得がいかないようである。
(あれ……?)
イフのそんな微妙な反応を不思議に思いながも、俺は、考察を続けた。
俺は、ネムリアの森の中を進んでいる時にイフが話した内容を、思い出していた。
イフが所持している五つの魔法瓶には、それぞれ異なる五つの擬似魔法の力が込められた液体が入っているはずである。
火属性の疑似攻撃魔法"小さな赤"。
水属性の疑似攻撃魔法"小さな青"。
風属性の疑似攻撃魔法"小さな緑"。
疑似回復魔法"小さな恵み(リトル・キュア)"。
疑似防御魔法"小さな盾"。
以上の五つのはずである。
攻撃、防御、回復と一通りそろっている、まさにオールラウンダーだ。
(……あれ?)





