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ややもすれば、少し不安げな表情のアカリである。
それには、
「それは、そうだろう」
と、俺は、返していた。
ありがたいことに、アカリは、この俺がこの街に戻ってくることを、期待してくれているのだ。
そんなアカリを、少しでも安心させたかった。
(……)
いずれにしても、即答だった。
明日、トライデントへ発つ。
事実だけを言葉にすれば、いたってごく普通である。
それこそ何の変哲もない話のようでもある。
ありていに言って、普通の話なのだ。
依頼を受諾したのだ。
王宮から勅命を受ける機密組織"王宮監察官"パリーピ・カルデンタントからの依頼である。
闇の組織"祝福"の10人いるとされる幹部の1人である変装の名人"百面相"。
その人物が扮しているという行商人マルセン・カールの姿がトライデントで目撃されたという情報がある。
それを調べるために、トライデントに発ってほしい。
そういう依頼である。
このヴィセントの街からトライデントまでは、それなりの距離があるようだ。
具体的には、八百屋の親父さん情報によると、馬車を飛ばして丸一日、の距離らしいとのことである。





