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先程までの空気感は、もうなかった。
きわめてシビアだとか、厳しく容赦のないニュアンスだとか、手厳しい感とか、そういったものは、もうない。
先程までの冷然なニュアンスは、もうなかった。
それは、影を潜めていたというよりも、霧散していた。
あとかたもなくなっていた。
いつものアカリの調子である。
それから、
「良いよ」
アカリは、ふっとそう言った。
憑き物が落ちたような調子だった。
険のとれた言いかただった。
「ソラくんは、いつも正直だよね」
アカリは、静かにほほ笑んだ。
それは、いつものような元気いっぱいの笑顔というよりも、すごく落ち着いた笑顔だった。
「そういうところが私はとっても……」
言いかけたアカリは、
「ううん」
と、言葉を区切った。
「明日、トライデントに行くんだよね?」
もうぱっとアカリの表情は、変わっていた。





