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役割がしっかりとばらけている、バランスのとれたパーティーと言えるのではないだろうか。
何事も均整すなわちバランスは大切である。
白いご飯と鮭のふりかけの比が一対十であるとか、計算問題と文章問題の比が九十九対一であるとか、そんな極端なものは、どうにも具合が悪い。
俺たち剣士と錬金術師のパーティーは、剣士と侍、魔法使いと僧侶、商人と踊り子、このようなパーティーよりも、バランスはよさそうだ。
爆風の煙が晴れた。
そうかと思った矢先、爆煙の中から複数の影が躍り出てきた。
また新たな隊列をなしてスライムが襲いかかってきていたのである。
「俺が、左斜め前に出るっ!」
俊足もとい瞬足、俺は左前方に高速移動した。
対峙している隊列の奥を一瞥した。
一瞬の視認そして瞬時の判断である。
どうやら、こちらから見て左側のほうが包囲網の層が薄そうだった。
(隙間を作れれば……)
と、俺は、思った。
なるべく早い段階で、スライムの包囲網に風穴を空けることができれば、戦闘を優位に運べると思ったのだ。
「わかりましたっ」
応じたイフが、俺の背後に回り込んだ。
俺が前衛でイフが後衛、この布陣は理にかなっている。
俺が直接の剣による物理攻撃で討ちもらしたスライムをイフが擬似魔法攻撃で狩りとる、そんな二段構えだ。
現に、先ほどらいのスライムたちの同時攻撃には、この二段構えが功を奏していると言えるだろう。





