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(どうということはない……!)
俺は、自身を鼓舞するように、心中叫んだ。
俺は、俺自身が望むコマンドを文字通りの秒でいやきっと秒未満で、引き寄せていた。
技のコマンドを引き寄せる感覚にも慣れてきた。
引き寄せたこのコマンドは、自身の周りに風を巻き起こし、凄まじいスピードで躍動する、移動技だ。
一秒も経っていないだろう。
こおっという音を耳もとで聞いた。
風が、巻き起こった。
大気を震わせる突風である。
五匹横並びの一番左側のスライムの目の前で、俺は、剣を構えていた。
エクスカリパーを地面と水平にして、柄を両手で握りしめる。
すでに敵とは、ゼロ距離の間だ。
スライムたちが、びくりと反応した。
「このまま……っ!」
そう言った俺は、エクスカリパーをぎゅっと握りしめた。
俺の身体が、半回転した。
そのまま、反動をつけた俺は、左から右への横薙ぎを繰り出していた。
一匹二匹三匹とずばずばと、スライムたちが俺の剣閃によって、上下に切断されていった。
四匹めに斬りこんだ時に、一番の右の五匹めのスライムが、大きくうねった。
正確には、突進方向を変えたのだ。





