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「この前お店で、ツカシク、二度づけしてしまいました……」
イフの小さな唇がかくかくと震えていた。
まるで教会で罪を告白するかのように深刻な表情である。
「二度づけ……してしまいましたっ!」
と、イフが、うめくように言った。
漫画チックに目を>(だいなり)かつ<(しょうなり)につむっているイフである。
俺から話題をふっておいてなんだが、そのまで思いつめられた顔をされると、ばつが悪い。
俺は、やんわりと、
「あのな、イフ。そこまで二度づけに罪悪感をだな……」
「……私のツシカク、ソースつけすぎ……」
イフは、驚いたように小さな両手で口元を覆うようなしぐさをした。
くらくらっというSEが聞こえてきそうな感じである。
俺は、やんわりとは逆方向の勢いで、
「そっちはダメぇっ!」
と、叫んでいた。
「それはもう、さっき見た聞いた! それに、まさかのネタの四度つけっ? 禁忌やタブーの先に行っちゃうつもりなのっ? どういうつもりなのっ?」
俺は、息を切らしながら、叫んだ。
もはやツッコみが、間に合わなくなりそうである。
しかも、俺もイフも、武器を構えながらの会話の応酬だ。
何か必要以上に疲れが溜まっていっているような気がした。





