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ちなみに、ソースを愛してやまない者たちすなわちソーサーの救済措置もないことはない。
串カツを食べるうえでの裏技のようなものである。
ざく切りのキャベツが供されることがある。
ドレッシングやマヨネーズなどはかかっていない、文字通りのシンプルなキャベツだ。
これは、ソースの味でいっぱいになった口の中をさっぱりとさせる効果がある。
しかし、別の意味もあるのだ。
ソースが足りない場合は、このキャベツをスプーンのようにしてソースをすくい、そして食べかけの串カツにかけるのである。
通常よりも濃いめの味が楽しめる。
以上が、俺程度のにわか知識を総動員した串カツの概要である。
(……これが本家本番やねん!……といったところか)
俺の手のしぐさを見て、イフが真面目なまっすぐな瞳で、はっとしたように、
「……もしかして!」
閃いたと言わんばかりの表情だ。
「……え? どうした?」
イフの勢いに圧されるように、俺は、とまどいがちに聞いた。
イフは、やや興奮気味に、ざっと一歩踏み進んで、
「ツカシク……のことですか!」
と、聞いてきた。
「いや、串カツだ……!」
と、俺は、頭を左右に振って言った。





