2-15
「俺らに喧嘩うるってことは、それなりに自信があるんだろう」
チンピラBの言葉に、俺は、
(……そんなものあるわけないだろう)
「待て。迂闊に近づくな」
不意に、チンピラCが、真顔で、言った。
「どうしたっていうんだ?相手は、丸腰のひょろいガキだぜ」
チンピラBは、笑って言った。
「だからだよ」
と、チンピラCが、短く言った。
「丸腰だし、確かに弱そうなガキだ……それなのに、俺たちに、喧嘩をうってきた。何でだ……?」
「それは……」
チンピラBは、言葉に詰まった。
「お前は、今やつを自信があるのかと煽ったが……喧嘩をうってきたのは、やつなりに、本当に自信があるからじゃないじゃないのか、もしくは、何らかの隠し玉をもっているからじゃないのか?」
チンピラAは、冷や汗をかきながら、苦い笑みを浮かべていた。
「……ちっ。なるほどな。さすがは、知恵者のお前だけあるぜ」
「……」
俺は、押し黙っていた。
チンピラCの言ったことの正反対が、正解である。
つまり、全く自信などないし、隠し玉のカの字も持ち合わせていない。
模試の会場で、ノー勉でしかも筆記用具を全忘れしているぐらいのやばさだ。