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ネタの三度づけなど、御法度中の御法度、禁忌なのだ。
(……今のイフのネタふりは、串カツのソース三度づけと同等の暴挙……っ!)
串カツのソース二度づけは、村の宝物庫に静かに眠っている村長の黒歴史ノートを村人たちに公開してしまうほどのタブーなのだ。
威厳に溢れる村長のイキっていた過去の日記が村人たちに知れるところになったとしたら、ことである。
村長涙目いや号泣である。
それほどに、串カツのソース二度つけはタブーすなわち禁忌なのだ。
串カツのソース三度づけは、村の宝物庫に静かに眠っている古の魔獣の呪いの込められた箱を開けてしまうくらいのタブーなのだ。
古の魔獣がよみがえりでもしたら、ことである。
物語の主人公がかけつけるしかない事態である。
それほどに、串カツのソース三度づけはタブーすなわち禁忌なのだ。
俺は、心中うめいていた。
「ああ、そうだ。串カツだ」
と、俺は、澱みなく言った。
「クゥシカツ……?」
と、イフは、先ほどよりも串カツに寄せてきた発音やイントネーションで聞いてきた。
「ノー。串カツだ」
「クシィカツ……?」
微妙に違う。
「ノン。串カツだ」
「クシカァツ……?」





