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俺も大人と言えるほどの年でもないし偉そうなことも言えないが、つまりはそういうことである。
しかし、子供Cが割って入ってくると、事態は一変する。
純粋な悪意のないきらきらとした子供Cは、処世術など使ってこない。
子供Cは、処世術など知らないから、当たり前の話だ。
まっすぐに自身思った通りのことを指摘してくる。
遠慮や打算など入りこむ余地がないのだ。
子供Cにすばっと言われた大人Bが大ダメージを受ける恐れこれありである。
実際、俺は、大人Bの状況に陥ってしまっている。
イフの指摘はクリティカルヒットで、俺は大ダメージを免れえなかった。
イフを子ども扱いするつもりはないが、イフは今まさに子供Cの状況である。
イフの俺がイキっているという指摘は、悪意がないぶん質が悪かった。
しかも、謎のとなりの家の人から教わったというウェーイ系パリピ言葉が、重ねがけの効果を生んで、鋭い切れ味の指摘となっていたのだ。
「……くっ。まさか、ウェーイ系パリピ言葉がここまでのバフ効果を生むとは……思ってもみなかったぞ……」
バフとは、俺のいた世界のオンラインゲームで用いられる用語の一つである。
使用者側のステータス上昇効果を引き出す術・技・呪文・魔法・アイテムやこれらによるステータス変動の作用を指す言葉だ。
「うそ……? 私の真似すごすぎ……」
イフは、驚いたように小さな両手で口元を覆うようなしぐさをした。
きらーんというSEが聞こえてきそうな感じである。
「それはもう、さっき聞いた!」
俺は、息を切らしながら、叫んだ。





