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「なんで画面下担当のお兄ちゃんが画面上に自機を寄せてきたの……っ?」
「……うぐ」
俺は、連続で言葉に詰まってしまった。
湊の言っていることはもっともだったからである。
「……いや。あの場所は、早回しができるエリアらしくてな。点数稼ぎもできるし、格好いいと思ってだな……」
と、俺は、遠慮がちに言った。
早回しとは、敵を早く倒すことによって追加の敵が出現する現象をいう。
当然必然、追加で多く敵を倒すぶん、得点も追加で入ることになる。
早回しが可能な場所の把握は、スコアラーにとっては必須だ。
「なにそれ? はやまわし……? 全然わかんないよ、そんなの……」
湊の肩が、ふるふると震えていた。
「……ほら、せっかくなら普通のプレイじゃないこともしてみたいじゃないか? ちょっと冒険的なやつでさ……」
と、俺は、湊をなだめるように苦笑しながら言った。
「……え?」
湊は、きょとんした顔をした。
「ちょっと普通プレイじゃ見られない景色を見せてやろうと思って……」
「……なにそれ」
湊は、低い声で淡々と言った。
「少しアウトローなプレイも格好いいじゃないか?」
沈黙が流れた。





