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4-208

「なんで画面下担当のお兄ちゃんが画面上に自機を寄せてきたの……っ?」


「……うぐ」


 俺は、連続で言葉に詰まってしまった。


 湊の言っていることはもっともだったからである。


「……いや。あの場所は、早回しができるエリアらしくてな。点数稼ぎもできるし、格好いいと思ってだな……」


 と、俺は、遠慮がちに言った。


 早回しとは、敵を早く倒すことによって追加の敵が出現する現象をいう。


 当然必然、追加で多く敵を倒すぶん、得点も追加で入ることになる。


 早回しが可能な場所の把握は、スコアラーにとっては必須(ひっす)だ。


「なにそれ? はやまわし……? 全然わかんないよ、そんなの……」


 湊の肩が、ふるふると(ふる)えていた。


「……ほら、せっかくなら普通のプレイじゃないこともしてみたいじゃないか? ちょっと冒険的なやつでさ……」


 と、俺は、湊をなだめるように苦笑しながら言った。


「……え?」


 湊は、きょとんした顔をした。


「ちょっと普通プレイじゃ見られない景色を見せてやろうと思って……」


「……なにそれ」


 湊は、低い声で淡々と言った。


「少しアウトローなプレイも格好いいじゃないか?」


 沈黙が流れた。

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