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2-12

「大丈夫かよ。衝突事故で、こりゃあ、骨にひびが入ったかもしれねえな」


 チンピラBが、にやつきながら、言った。


 女の子と男たちが、ぶつかったことによる騒動のようである。


 チンピラCは、女の子に向かって、


「治療代を出してもらわねえとな」


 と、言った。


 立ったままぴんぴんとしている男たちは、倒れ込んでいる少女のことを心配している様子など、微塵もなかった。


「お嬢ちゃんが、そんなにいっぱい荷物を一生懸命に運んでいて、ふらついているのが、悪いんだぜ」


「そうそう、つられて、俺たちも、ふらっとして、ぶつかっちまったわけよ」


 チンピラたちの物言いは、言いがかりそのものだ。


 ここまで、露骨だと、事態は、明々白々である。


(こいつら……)


 チンピラたちは、当たり屋だろう、故意にぶつかって、治療費を請求しているようだ。


(何で、誰も何も言わないんだよ)


 俺は、歯がゆくなって、辺りを見回した。


 みんな、一様に、不安げな顔をしている。


 きっと、誰もが、この光景を心配して、何とかしたいとかしなければと思っているはずだ、俺は、そう思いたい。


 この表情を、知っている。


 傍観者の顔だ。


 見てみぬふり、当事者にならず、ただ見ているだけ、場合によっては、責任の意識がないだけ加害者よりたちが悪い。

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