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俺は、目をつむって、
「……ふっ。かも、な」
(ぎゃあああああああああああああああああああああ……っ!)
サンタクロースを信じている子にネタバレするのはご法度である。
まだ靴下のプレゼントを信じきっている子に盛大なネタバレを突きつけるなど、野暮である。
それと同じノリで、俺は、目を輝かせているイフに虚勢を張るしかなかった。
話をもったり自身を過度に大きく見せているわけではないから、俺の倫理観的には、セーフな言動だ。
(ぎゃあああああああああああああああああああああ……っ!)
能力のおかげで、この程度の痛みで済んでいるのかもしれなかった。
着地した時の衝撃が、身体全体を襲っていた。
圧倒的足じんじんである。
足じんじんは思いつきでそう呼んでみた、フィーリングでそう呼んでみただけだ。
(……だいぶ、痛みもマシになった)
俺は、エクスカリパーを構えた。
悠長なことをしている場合でもなさそうだ。
スライムが、ゆっくりと近づいてきていた。
アニメやゲームでは、主人公たちの変身シーンや重要な会話では、敵がたが空気を読んで攻撃を待ってくれるというお約束がある。
揺るがない様式美というやつだ。
しかし、少なくともこの場のスライムたちに、それを履行する気はなさそうだ。
俺は、ゆっくりと深呼吸した。





