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積極的な女子など、男子を名指しで一生懸命応援していたりもしていた。
何々君頑張ってという類のものだ。
そして、女子の応援にはステータスを一時的に向上させる効果があるのか、応援された男子は妙にやる気になって、追加得点をあげたりするのだ。
そんな応援する女子たちの表情について言えば、形容が難しい。
感心とか歓喜とか情熱とか難しい形容は似つかわしくないのではかいか。
ストレートに、きゃあきゃあという形容がしっくりくる。
感心や歓喜や情熱にあふれた声援は、男子にもできるだろう。
しかし、きゃあきゃあという声援は、男子にはできないのではないか。
つまりは、かくのごとき声援は、女子の特権なのだ。
そして、ここまでで導き出されるのは、きゃあきゃあイコール黄色い声援、だ。
この公式に異議を唱える諸兄姉は、そう多くはないだろう。
ちなみに、俺は、運動神経は並で、サッカーの試合などでも特に活躍することもなかった。
よって、そのような声援を送られたことはただの一度もない。
イフの顔は、そのような女子たちの黄色い声援に通ずるものがあるように思えた。
「……ふっ」
俺は、そんな回顧をしながら、短く息をもらした。
誤解のないように言っておきたい。
只今にして息をもらしたのは決して格好つけでも何でもないのである。
俺の身は、重篤な事態に陥っていたのだ。
ありていに言ってしまえば、俺は、まずいすなわちやばい状態になっているのである。





