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「……あ」
着地した俺の背中を見ているであろうイフの小さな声が、聞こえた。
声のトーンからして、少し呆然としているようだった。
やや右足を前方にして剣を振りぬいた姿勢のまま着地した俺である。
スライムの包囲網は、じりじりとせばまってきている。
すぐに第二ラウンドが始まるだろう。
(ぎゃあああああああああああああああああああああ……っ!)
これは、俺の心の叫びである。
「……ふっ」
小さく息をはいた俺は、ゆっくりと立ち上がった。
それから、すくっと背を伸ばした。
風が、俺のほほをなでた。
一連の俺の所作は、まるで新品の靴を履いた時のようにぎこちなかった。
「……す、すっ……ごいっ!」
と、我に返ったようなイフは、感嘆の声をあげていた。
まるで、長編映画を観終わって余韻に浸りながら映画館から出てきた人物のような満足げっぷりである。
(ぎゃあああああああああああああああああああああ……っ!)
俺の心の叫びは、続いていた。
「そ、ソラっ! さすがです!」
イフが、興奮気味に言った。





