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エクスカリパーでスライムCを斬り伏せた時、俺の"入力実装"は発動していなかった。
これは、意図的である。
俺は、能力に頼らずに自身の膂力でどの程度までモンスターとやり合えるのか知っておきたいのだ。
万が一、能力が発動できないという状況に陥ってしまった時、諸手を挙げてのお手上げでは目も当てらない。
まったくの案山子、何もできないのではないか、これは杞憂だったようだ。
最低限、スライムとは渡り合える程度の力はあるということらしい。
もちろん、自身の体力なども考慮しなければならないだろう。
(そういう意味では、とりあえず安心だな)
と、振りかぶった姿勢のままの俺は、思った。
スライムを斬りふせた勢いのまま、俺は、降下していった。
デエカの木々のてっぺんを超えるあたりまで跳んでいたのだから、降下のスピードもなかなかである。
風が、身体全体にぐんぐんと当たってきた。
その勢いに、思わず、剣を手放しそうになってしまうほどだ。
下方のイフと地上とスライムの群れとが、どんどんと大きく見えてきた。
(……っとおっ!)
ジェットコースターよりも、迫力がありすぎだ。
実際の降下時間はほんの数秒程度だろう、その数秒が引き伸ばされて何倍にも感じた。
(……っ!)
そのまま、俺は、ずざっと地上に降りたった。
俺が着地した衝撃で、デエカの落ち葉が、ざざっと巻きあがった。





