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俺は、剣を構えた。
そう、エクスカリパーである。
聖剣エクスカリパーである。
太陽を背に、俺は、大きくエクスカリパーを振りかぶった。
「三連擊だっ……!」
と、俺が、言った。
「さ……三連っ! 間髪入れず隙を生じさせない三回連続攻撃……っ!」
地上にいるイフが俺のほうを見上げたまま、驚きの声をあげていた。
エクスカリパーの見れくれは、いかつい装飾がこれでもかと施されていて、オラオラ系やB系のテイストも入っている。
ヴィセントの街の武器屋で絶賛販売中の定価10000ネカの聖剣のことである。
サングラスをかけたウサギが刀を構えているという、インパクトは抜群なものの若干シュールなモチーフの看板が目立つ、武器屋の親父から譲り受けたのだ。
「はあああああっ」
俺は、かけ声とともに、三匹目すなわちスライムCの正中線を捉えた。
太陽の光りの中、剣が銀色に輝いていた。
剣を振るうなど、もちろんはじめての経験だ。
刃物を扱ったことなど、料理と呼べるか怪しいレベルでの包丁と学校の美術での彫刻刀ぐらいである。
ちなみに、包丁で人差し指の内側をすぱっと切ってしまった時は、とても痛かった。
ある程度包丁のに慣れると、リンゴの皮むきを目をつむってやれると聞いたが、俺には手の届かない域だ。
話が脱線するが、宿題プリントの紙の端で中指の内側をすっぱりと切ってしまった時も、すこぶる痛かった。
少し切ってしまうあるある案件である。





