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「コマンドを……引き寄せるっ!」
俺は、強く技をイメージした。
この自分が引き寄せたい技を引き寄せる感覚は、ふわっとした曖昧なもので、説明できる類のものではない。
開き直って言ってしまえば、これはそういうものなのである。
無理やり例えて言うならば、俺のいた世界で流行っていたおまけシールつきのチョコレート菓子だろうか。
おこづかいで購入できる手軽な値段と魅力的な豊富な種類のキャラクターが功をそうして、幅広い層にうけている人気シリーズである。
おまけシールの中でもキラキラしたレアのキャラクターのシールが人気だった。
これを引き当てるのに、コレクターは躍起になっていた。
一箱の中には三十袋くらいが入っていて、基本はバラ売りである。
左側の列の前から七番目の袋にレアシールが封入されていると、まことしやかにささやかれていたが、真偽のほどは定かではない。
都市伝説レベルの話だ。
(山田が、よくレアシールをきれいに整頓したファイルを自慢していたな……)
と、俺は、思った。
またしても、俺の友人の山田が絡んでいるのだが、この話は割愛すなわちカットである。
俺のコマンドを引き寄せるプロセスは、そんなレアシールを引き当てるのに似ているような気がした。
何となくそこにあるだろうと勘を働かせて、引き当てるひいては引き寄せるのである。
(……よし)
閃光が奔って、頭の中で文字列が閃いていた。
6+少P。
これは、強烈な衝撃が生じさせる、掌底打ちである。





