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百聞は一見にしかず、百回聞くよりも一回見るほうが勝っている、に通じるものもある。
ここで言えば、オン・ザ・バトル・トレーニングというところだろうか。
アルファベットの頭文字をとって、OBJである。
実戦に勝るものなしというところだ。
格闘ゲームで勝利するための重要な要素は、いくつか挙げられる。
その内の一つは、技の種類とその性質を熟知することだ。
格ゲーマーを名乗る以上、避けては通れない学習分野である。
そもそも、通常技と必殺技と超必殺技、いくつの技を持っているのか。
それぞれの技は、どのような性質を持っているのか。
その性質は、どのような局面で有効に働くのか。
有効に働くというメリットと対になっているデメリットはあるのか、あるとすればそれはどんなものなのか。
色々言ってみたが、ようは、格闘ゲームふうに考えれば、俺自身の技表と技の詳細を頭に叩き込んでおくということだ。
そして、この蹴り技で一撃でスライムを倒せるとわかったのだ。
逆に言えば、スライムに対しては、これ以上の大技を使わずとも、対処が可能だということだ。
コマンドが長いとその分、入力までと技の発動までに時間がかかるという、"入力実装"の弱点もわかってきている。
大技を使わずに倒せるのならば、よりリスクを抑えた戦術がたてられる。
俺は、空中で体勢を立て直しながら、
「さらにっ……!」
俺は、残り二匹となったスライムたちに向かって、再び能力を発動させていた。
"入力実装"の緑のモノクロームの視界が、俺を包み込んだ。





