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「……多いな」
と、俺は、独白するように言った。
うごめくスライムの包囲網、その数おおよそ五十匹、やはり圧巻だ。
数の暴力を体現したかのような様相である。
(だが、敵は……スライムだけみたいだな)
と、俺は、思った。
俺たちを包囲しているスライムの群れ以外、モンスターの影は見当たらないのだ。
俺は、胸をなで下ろした。
スライムだけであれば、この前のチニチニの花の調達クエストの時の戦いの応用で、対処できそうである。
敵の数が三十匹が五十匹になったという違いはあるが、油断さえしなければ、俺とイフの実力で十分いけるだろう。
また、十六時の方向に、少し広めの獣道があるようだ。
俺は、目を細めて、
(あの道であれば、逃げながらも追手に対処できそうだ)
万が一戦闘の旗色が悪くなったら、そこから逃げられるように道を切りひらけば大丈夫だろう。
(方針はたったな)
その時である。
俺は、あれっと思った。
スライムの群れから少し離れた場所、ある一点がぼうっと赤く光ったように見えたのだ。
(……何だ?)
と、思いながら、俺は、目を凝らした。





