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目的と言いかえてもいいだろう。
もう一つの目的とは、鳥瞰である。
鳥瞰とは、高い所から見おろして眺めることをいう。
要するに、全体を大きく眺め渡すことをいう。
飛ぶ鳥のように高い所から広い範囲を一目で観察するのだ。
木を見て森を見ずとは、よく見かける教訓である。
物事を把握するには、一部分だけを見るのではなく、全体像を見ることが肝要である。
見ていたある一部分が見ていない別の一部分と関係していて、それが重要な意味を持つこともあるだろう。
冗長な理屈をこねくりまわしたが、とりま、とりあえずまとめると、少し大きい視点で見てみたかったのだ。
俺は、俺たちが置かれている状況を全体的に把握したいと思った。
俺は、俺たちの周辺の森の様子を中途半端ではあるが一望していた。
「さて……」
俺は、ざっと見渡した。
俺たちの周りの様子を、チェックしたかったのだ。
スライムの群れのほかに新手がいるとすれば、それに備える必要がある。
目の前に見える敵がすべてとは限らないだろう。
また、いざ退却という段になった場合は、どこからどのように逃げるのがベストかないしベターか知りたかったのだ。
俺は、改めて上空からぐるりと森を見渡した。
ネムリアの森は、俺が考えていたものよりも面積は広そうだ。
俺は、真下を見た。





