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そして、このメモリーチェックには、数分がかかる。
モニターの調整時に用いられる碁盤の目のような表示パターンである、クロスハッチが、必要な場合もある。
ゲームセンターに早朝からでかけた時に、たまに見かける光景だ。
俺自身、新作の格闘ゲームが入荷された時、好きなキャラクターの練習をするために、学校がない日の早朝からゲームセンターに行ったりすることもあった。
そんな時に、お目にかかった光景なのだ。
(……きた)
と、静かに目をつむりながら、俺は、思った。
"入力実装"を発動する下地が整ったことを、俺は確信した。
これは、理屈ではなく、まったくの感覚だ。
"入力実装"を発動するために、俺は精神を集中した。
(速く……なってきている!)
と、俺は自身を奮い立たせるように内心叫んだ。
能力の発動回数はまだ片手で数えられるほどしかないが、発動速度は明らかに向上していた。
俺は、目を見開いた。
その瞬間、俺の視界は、緑のモノクロームに染まった。
デエカノ落葉も木々も空も雲もスライムの群れも、そしてイフと俺自身も、全てが緑の単色の世界に包まれた。
緑のモノクロームの視界は、格闘ゲーム、いわゆる格ゲーでの超必殺技を使った際の演出である画面の暗転に似ている。
よしと俺は頷いた。
(後は、コマンドをはしらせればいいっ!)
このへんも、まったくの感覚というか操作というか手順であり、そうなるように仕向けるとそうなるとしかいいようがない。





