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「……何でもない」
生真面目すぎるのも、問題である。
刹那、視界が暗くなった。
俺とイフの真上に影が浮かんでいた。
「……ソラっ!」
上を見上げながら、イフが、言った。
俺は、イフに相づちを打って、
「……ああ!」
スライム三匹が、束になって飛びかかってきたのだ。
スライムの動きは、速さはないが重量感があり、ぐわんと大気が震えた。
(いくぞ……っ!)
俺は、デエカの葉の絨毯をぐっと踏み込んだ。
深呼吸してから、俺は、ある感覚を引き寄せにかかった。
俺の能力"入力実装"の発動の感覚である。
"入力実装"は、格闘ゲームのコマンド入力に近い性質をもつ、コマンドをなぞって力を振るうという能力だ。
能力の起動にはコツがいる、まだ不慣れだが、それでもだいぶコツはつかんできていた。
感覚的には、アーケードゲームの立ち上げに近い。
ゲームセンターの開店直後の風景を見たことがあるゲーマー諸兄姉もいることだろう。
ACはCSのものとは違って、電源を入れてもゲームがすぐに立ち上がるわけではない。
まずは機器側で自動的にメモリーチェックに入るのである。





