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(どやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!)
再び、イフの自信たっぷりの心の声が聞こえたような気がした、いや表情を見るかぎりほぼ確実である。
俺も、ひくにひけなくなってしまったようである。
ピザが好きだとしよう、マルゲリータ、マリナーラ、オルトラーナ、ロマーナ、パルマ、サルモーネ、ペスカトーレ、何だっていい、そこにタバスコをかけすぎたとしよう。
かけすぎたからといってその注文したピザに手を伸ばさないという選択肢はありえるのだろうか、九分九厘ありえないのである。
俺は、唇を噛みながら、
(……ままよ!)
こうなった以上、俺も、合わせるしかないだろう。
「次回作にっ……ご期待くださいっ!」
と、俺は、叫んだ。
(どやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!)(どやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!)
どや顔とどや顔が交錯して、どやどやした空気が、場を支配していた。
圧倒的いや言いすぎを恐れないで言えば悪魔的どや感である。
かたややり遂げた感満載のどや顔、かたや何とか間に合わせた感満載のどや顔である。
むろん、前者はイフであり後者は俺だ。
「……」「……」
俺もイフも大見得をきったポーズのまま固まっていた。
イフが、ちらっと俺のほうを見た。
(ええええええええええええええええええええっ?)
俺は、心中叫んでいた。





