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俺たちがもたもたしている間にも、スライムたちは包囲の輪を狭めてきていた。
一刻の猶予もなさそうだ。
「……わかっています! 一刻を争う事態だということはっ!」
イフは、真剣な表情である。
「いや……わかっているならね、その……」
マンガで言えばピンチに陥っているヒロインのような表情のイフは、
「何としても間に合わせる……っ!」
と、言った。
「間に合わせなくていい類のものだと思うよっ?」
イフは、さらにずいっと前に進んだ。
「バトルはっ……これからですっ!」
右手の拳をぐっと握りこんだイフである。
「うん……たしかにバトルはこれからはじまりそうだな……」
半ば棒読みになりながら返した俺である。
俺は、何となく流れがわかってしまって、かろうじて合いの手を出した。
イフの瞳が、ここだと言わんばかりにきらりと光った。
「先生の次回作にっ……ご期待くださいっ!」
右手に加えて、左手の拳をぐっと握りこんだイフである。
「次回作にっ……ご期待くださいっ!」
イフは、大見得をきりながら、期待に満ちた視線を俺に送ってきていた。





