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「ソラ」
イフは、ガラス瓶を手にしていた。
魔法瓶と呼ばれるものである。
魔法使いでない者が、疑似的に魔法を使えるよう、錬金工学により生成した魔法を閉じ込めた瓶だ。
イフも、臨戦態勢である。
(頼りになる)
俺は、ふっと笑って感心した。
「よし。じゃあ、作戦を立てるとしよ……」
俺がそう提案しかけた時、イフは、大きく息をついた。
それから、イフは、そのまま直進していた。
「なっ……!」
俺は、焦った。
まさか単身突っ込もうとしているのではないだろうか、それぐらいの勢いで前に進んでいくイフである。
(……くっ!)
思わず前に進んだイフの肩をぐっと掴んでいた。
「待て! 何をやっているんだっ?」
と、俺は、聞いた。
イフは、振り返って、
「止めないでくださいっ!」
と、叫んだ。





