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俺は、身構えながら、
(どういう……ことだ?)
俺の頭の中で、思考の歯車がかちかちと回っていた。
モンスターと遭遇した以上、戦闘は必然だ。
戦闘の初動に必要なのは、味方と敵の現状をできるだけ素早くそして正確に把握することだ。
そして、戦うや逃げるなどの選択肢に臨むのだ。
「何て数だよ……」
素直な感想が、口からもれていた。
俺たちが見落としていただけで、これだけの数のスライムたちはこのネムリアの森の草木の影に潜んでいたのだろうか。
イフが、小さな手で俺の服の袖をぎゅっと掴んでいた。
(いや。森に入ってから、デエカの実を採っている時も、そんな気配は……)
俺は、心中言いよどんでいた。
気配は感じなかったと言いきる自信はなかった。
気配を感じとれなかっただけかもしれないのだ。
決して自虐的になっているわけではないが、俺は冒険者としては超初心者である。
そんな俺が、俺自身の危険察知能力を高く買えるはずがない。
それは、過信がすぎるというものだろう。
俺は、眉間にしわを寄せて、
(そこまで、うぬぼれちゃいないが……)
と、思った。





