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武器屋の親父は、にやっとして、
「いいぜ。ちょうど人手が欲しいと思っていたところだったからな」
と、言った。
親父の漢気溢れる台詞で、採用は即決だった。
俺は、心中ほっとしていた。
予定の第一段階は、クリアだ。
武器屋の親父は、ちょっと待ってろと言って、奥に引っ込んでから、剣とポスターのような大きめの紙を抱えて、戻ってきた。
「早速、働いてもらうぜ」
と、武器屋の親父が、言った。
「わかりました」
「じゃあ、この張り紙を、店の外の窓に貼ってくれ」
行書体めいた流麗な文字の張り紙だ。
何と書いてあるのかは、わからないが、威風堂々とした雰囲気が伝わってきて、購買意欲をそそられる感じだ。
「いい感じですね」
と、俺は、素直な感想を言った。
武器屋の親父は、まんざらでもないという顔つきで、
「だろ?『伝説の聖剣エクスカリバーのレプリカ、エクスカリパー、堂々大量入荷中!なかなか響くフレーズだろう』
エクスカリパーの連呼を聞きながら、購買意欲が、俺の中で、一気に減退していった。
(……大晦日の時にめちゃくちゃ混むあの通りとか、各地の観光地とかで売られている、海外の人向けの忍者や将軍や芸者と大きく書かれた謎のティーシャツと、同じ風を感じるぞ)
と、俺は、思った。





