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半ば反射的に、俺の身体が動いていた。
「ひゃう……!」
俺は、イフに覆いかぶさるようにしながら、とっさに身をかがめていた。
頭上を、青いゼリー状の物体が勢いよく飛来していった。
飛来物の影で、視界が一瞬暗くなった。
「……っ!」
まるであかね色の絨毯のような地面に落ちているたくさんのデエカの落ち葉が、ばうんっとはねた。
気づけば、俺たちは、スライムの群れに囲まれていた。
スライムは、RPGの世界観通りのゼリー状・粘液状のモンスターである。
スライムたちは俺たちを取り囲んでいて、その円陣を少しずつせばめてきていた。
幸いなことに、動きそのものはゆっくりとしている。
(数が多い……)
と、俺は心中呻いていた。
その数は、ざっと見て五十匹ほどだろうか。
「どうして……! さっきまでそんな気配は全然なかったのに」
と、イフが、狼狽して言った。
確かに、イフの言う通りである。
これだけの数なのだ。
何らかの気配や音を事前に感知できなかったのは妙だ。
これだけのモンスターの群れに気づけなかったのはやはり腑に落ちなかった。





