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かさっとかさっととデエカの葉が揺れる音がした。
「ですから……見ました……よね?」
と、イフが、さらに静かに言った。
イフの口ぶりからして、何らかのことを非難しているのはわかっているのだが、いまいちピンとこなかった俺は、
「……だから、何のことだ?」
と、おそるおそる聞いた。
イフは、はっと顔を赤らめて、
「そ、そんなことまで、私に言わせる気ですかっ?」
と、言った。
「……う」「……ぅ」
攻めの無言と防御の無言のやり取りから一転、防御の無言と防御の無言の様相である。
イフは、紅潮したままで、たどたどしく、
「その……ソ、ソラは、わ、私の中に入ったわけで……」
ここにきて、さすがににぶい俺でも即座に察した。
俺の顔面にイフが馬乗りになっている恰好になって、おまけに俺の頭がイフのワンピースの中にすっぽりと収まってしまった事態のことを、イフは言っているのだ。
「その件かっ! 見ていないと思うぞ!」
俺は、大声で返した。
実際、二人してわちゃわちゃしていて、俺も相当動揺していたのだ。
「……本当、ですか?」
イフが、確認するように聞いてきた。





