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4-162

 かさっとかさっととデエカの葉が揺れる音がした。


「ですから……見ました……よね?」


 と、イフが、さらに静かに言った。


 イフの口ぶりからして、何らかのことを非難しているのはわかっているのだが、いまいちピンとこなかった俺は、


「……だから、何のことだ?」


 と、おそるおそる聞いた。


 イフは、はっと顔を赤らめて、


「そ、そんなことまで、私に言わせる気ですかっ?」


 と、言った。


「……う」「……ぅ」


 攻めの無言と防御の無言のやり取りから一転、防御の無言と防御の無言の様相(ようそう)である。


 イフは、紅潮(こうちょう)したままで、たどたどしく、


「その……ソ、ソラは、わ、私の中に入ったわけで……」


 ここにきて、さすがににぶい俺でも即座に察した。


 俺の顔面にイフが馬乗りになっている恰好(かっこう)になって、おまけに俺の頭がイフのワンピースの中にすっぽりと収まってしまった事態のことを、イフは言っているのだ。


「その件かっ! 見ていないと思うぞ!」


 俺は、大声で返した。


 実際、二人してわちゃわちゃしていて、俺も相当動揺していたのだ。


「……本当、ですか?」


 イフが、確認するように聞いてきた。

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