4-158
(ああ……)
俺は、心中ほっとしていた。
木になっているデエカの実を採る時から、ヤバみたっぷりの一連の事態が続いていた。
一連の事態は、二人で肩車での俺がイフのワンピースの中に頭を突っこんでいる、からの、倒れ込んでの俺がイフのワンピースの中に頭を突っこんでいる、である。
起きてしまった出来事をなかったことにはできない。
それでも、起きてしまった出来事に対して、何かすることはできるのではないかと思った。
体よく事態の収拾を図ろうという都合のいいことを言うつもりはない。
それでも、この俺たちの気まずい雰囲気に、一筋の光明が射し込んだように思えたのだ。
しかし、それは、すぐにはかない夢だと思い知らされた。
イフが、ぴたりと笑うのをやめたのである。
(なん……だと……)
俺は、心中呻いた。
予想外の展開に、とまどってしまった形だ。
例えて言えば、ボーリングで、明らかにストライクだろうと思っていたのが、急にガーターになってしまったような形だ。
別の例えで言えば、宿題で、最後のページかと思っていたのが、後さらに十ページもあったことに気づいてしまったような形だ。
イフは、地面のデエカの葉に視線を落としたままで、
「……面白くないかもです……」
と、さらっとどぎついことを言った。
「……え?」
俺の声は、半ば凍りついていた。





